
第3回 精神科について
- 精神科では、精神の異常とか正常というのを何で判断するのですか。
- 精神科医の中には独自の精神病理観を持っていて、独自の判断をする人もいます。しかし普通の精神科医は、まず病気であるかどうか、それも基本的には教科書に書かれている疾病に該当するかどうかで判断しているのではないでしょうか。
- 精神病と神経症はどう違うのですか。
- これも難しい質問です。一口にいえば「現実検討reality-testing」の有無ということでしょうか。現実検討とは、簡単にいえば、自分の心の中に起きていること、自分が考えていることが合理的、現実的であるか判断する能力と考えてよいと思います。精神病の人は現実検討が乏しく、神経症の人は現実検討が保たれているといわれます。もちろん絶対的なものではありません。
- うつ病は精神病でしょうか。
- うつ病はかつて三大精神病のひとつとされていましたが、今日では精神病ではなく、感情障害とされています。「気分」の障害ともいわれます。
- さいきんよく言われる、「こころの病」とはどういう病気をさすのですか。
- こころの病とは正しい医学用語ではなく、マスコミを中心に巷ではやっている言葉です。非精神病圏の軽い精神疾患を指していることが多いように見えますが、重い障害にも使われることもあります。さいきんでは「精神」という言葉を避け、「こころ」という言葉が好んで用いられ傾向があります。
- 三大精神病って何ですか。
- 精神分裂病、躁うつ病、てんかんをかつてそう呼んだ時代がありました。しかし今日では、躁うつ病は精神病ではなく感情の病、てんかん精神病ではなく、脳の電気的興奮の異常による発作性疾患とされています。残るは精神分裂病ですが、これも患者の側から、病名としてふさわしくないとされ、「精神」とか「分裂」という言葉が廃棄されるようです。しかしいまのところ、それにかわる適当な病名がまだ見つかってないのが現状です。
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